東京生まれ。アフリカの音楽に魅了され、単身ケニア奥地の村で修業し、現地でも限られた男性だけに演奏が許されている伝統弦楽器ニャティティの世界初の女性奏者となる。
2009年、「ニューズウィーク」誌の「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれる。2010年、FUJI ROCK FESTIVALに出演し、ワールドミュージック部門のベストアクトに選出される。2022年、9枚目となるアルバム『AOKO』をリリース。日本国内だけでなく、ケニア、フランス、ドイツ、米国など海外の音楽フェスティバルでも広く演奏活動を行っている。
また、日本ケニア文化親善大使として、100校を超える日本各地の小中学校、高校、大学で講演と演奏活動を行っている。
MUSIC | LIFE & ACTIVITY | |
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1981 | LIFE & ACTIVITY 東京品川に一人娘として生まれる。 |
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LIFE & ACTIVITY ピアノを習い始める。 |
1985 | |
1987 | LIFE & ACTIVITY 小学校入学。 |
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MUSIC 聖歌隊に選ばれる。 |
1993 | LIFE & ACTIVITY 青山学院中等部に入学。 |
1996 | LIFE & ACTIVITY 青山学院高等部に進学。反抗期が始まる。毎晩のようにライブハウスに通う。 |
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MUSIC バンド結成。リーダー兼ヴォーカル担当。 |
1997 | |
MUSIC プロミュージシャンを目指し本格的にバンド活動開始、ライブ演奏の毎日。CDを自主制作。 |
1999 | LIFE & ACTIVITY 青山学院大学に進学。 |
MUSIC 音楽修業のためニューヨークに向かった。ところが、ちょうどその日(9月11日)、アメリカ同時多発テロ事件が勃発。ニューヨークを目前にして帰国を余儀なくされる。 |
2001 | |
MUSIC 再び音楽修業のためニューヨークへ。到達した3日後、アメリカがイラクに攻撃を開始。音楽修業どころではなくなり帰国。友人に誘われ東アフリカの音楽バンドの演奏を観に行く。ケニア伝統音楽の強烈なビートに魅了され、その日のうちにバンドメンバーとなる。 |
2003 | LIFE & ACTIVITY 青山学院大学卒業。 |
MUSIC 初めてケニアの大地を踏み、ますますケニア伝統音楽の虜となる。 |
2004 | |
MUSIC ナイロビ日本大使館にてニャティティを演奏。ナイロビのスラムにて、子どもたちの前でライブ演奏。 ケニアの民族音楽のための国立劇場であるボーマス・オブ・ケニアにて、ケニア建国以来初の外国人によるステージ出演。 |
2005 |
LIFE & ACTIVITY ルオー民族の伝統的弦楽器ニャティティ習得のため、一人でケニアへ渡航。ケニア奥地の村で修業を始める。ルオーの村々の長老、ニャティティの名人たちの前で演奏し、女性ながらもニャティティの伝統的奏者の一人とし認定証を授かる。 |
MUSIC 日本に帰国し、CD『NYATITI-LUOの魂-』を自主制作する。世界初女性ニャティティ奏者として、演奏活動をスタートさせる。 ニャティティのコーラス&ダンスチーム「アニャンゴwithニャティティ・ワレンボ!!」を結成。 WFP(国連世界食糧計画)の式典で演奏。 |
2006 | LIFE & ACTIVITY 雑誌「ソトコト」11月号に掲載される。 |
MUSIC ケニア・ホマベイで開催された国連主催のSTOPエイズコンサートに出演。観客は5万人を超える。ケニア・ナクルにあるエガトン大学で「国際女性の日」の特別ゲストとして招かれ演奏する。 |
2007 |
LIFE & ACTIVITY 渡ケニア。ケニアのNationTVのニュース番組で3日間に渡って放映される。ケニア「スタンダード新聞」に2ページに渡って掲載されるなど、ケニア国内のほとんどの新聞で大きく報道される。ケニアCitizenTV、BBCラジオ、ルオー語のラジオ他にも多数出演。 ケニア政府観光局から、日本とケニアの文化親善大使に任命される。 |
MUSIC 日本ケニア教育文化交流事業で、ケニアから12名の高校生を招待。札幌YOSAKOIソーラン祭りにて、日本人の有志ダンサー3,000名とともに、ニャティティのリズムに合わせて演舞する。WFP(国連世界食糧計画)の式典で演奏。 TICAD Ⅳ(第4回アフリカ開発会議)の式典にて世界の首脳陣を前に演奏。 |
2008 |
LIFE & ACTIVITY アニャンゴのニャティティ修業をテーマにしたドキュメンタリー映画「UPEPO」が都内で上演される。日本ケニア教育文化交流事業の準備のため、ケニアへ渡航。 インターFMラジオで「向山恵理子のジャンボ!アニャンゴ!」が始まる。 |
MUSIC ファーストアルバム『Nyatiti Diva』をリリース。タワーレコードワールドミュージックチャートで1位となる。 |
2009 |
LIFE & ACTIVITY 「ニューズウィーク」誌の「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれる。 |
MUSIC FUJI ROCK FESTIVALに出演。ワールドミュージック部門のベストアクトアーティストに選ばれる。 セカンドアルバム『HORIZON』リリース。DENONの月刊推薦ディスクに選出される。 |
2010 |
LIFE & ACTIVITY ワールドミュージックの本場とされるイギリス、フランスへの新出のため、フランス事務所を設立。現地でのレコーディング、ライブ公演の準備開始。 |
MUSIC レコーディングのため、渡仏。 パリにて、サリー・ニョロと共に東日本大震災のチャリティライブ開催。 |
2011 |
LIFE & ACTIVITY テレビ朝日「徹子の部屋」に出演。 |
MUSIC フランスにてライブ公演。 |
2012 |
LIFE & ACTIVITY 3冊目の本となる『アニャンゴの新夢をつかむ法則』(学芸みらい社)出版。アマゾン・ジャパンのノンフィクション部門で1位となる。 |
MUSIC フランス・ストラスブールで開催されたムヴェット・アート・フェスティバルに招待され演奏。 日本にて、定期コンサート「Anyango・Promenade」をスタート。 |
2013 |
LIFE & ACTIVITY TV東京「クロスロード」に出演。 |
MUSIC 第2回ワールドツアー(フランス、アメリカ、ミャンマー、ケニア、ウガンダ)に出発。 |
2014 |
LIFE & ACTIVITY ボストン・バークリー音楽大学にて臨時講師。 |
MUSIC 6枚目のソロアルバム『Savanna』をリリース。リメイク版『Nyatiti Soran 2020』のCD、DVD、テキストをリリース。 |
2015 |
LIFE & ACTIVITY 東京・広島・長崎で開催された「国連合唱団 平和と希望のコンサート」(戦後70年記念)にゲスト出演。アニャンゴが楽曲を提供した「キユーピーマヨネーズ」CMが2015年ADC賞受賞。 |
MUSIC DVD『Anyango Live in Tokyo』リリース。 |
2016 |
LIFE & ACTIVITY NHKーBS1国際報道2016「WORLD LOUNGE」出演。 |
MUSIC ベストアルバム『The Safari of Eriko Mukoyama』(Anyango Kenya Best)を日本国内でもリリース。旗岡八幡神社にて奉納演奏。 |
2017 |
MUSIC 毎日放送(TBS系列)新春特番「2017年実はこの人…世界オンリー1」に出演。NHKラジオスワヒリにレギュラー出演(3年間)。 日本とケニアの10年に渡る文化親善活動に対し、東久邇宮文化褒賞を受賞。 アフリカのインターネットTVにて、1年間放映される。 |
MUSIC 長野キッズと共に第8回国際紅白歌合戦にて、ニャティティソーランを演舞。善光寺にて演奏。 |
2018 |
MUSIC エッセイ集『ニャティティの歌』(学芸みらい社)を出版。 |
2019 |
MUSIC UNDP(国連開発計画)の「AFRI-CONVERSE」シンポジウムに登壇。アフリカンフェスタ出演。 |
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MUSIC 新型コロナのため、すべての公演が中止となる。楽曲の制作に打ち込む。 |
2020 | |
MUSIC 8枚目のアルバム『KANKI』をリリース。 |
2021 | |
MUSIC 9枚目のフルアルバム『AOKO』をリリース。 |
2022 |
LIFE & ACTIVITY JICA「アフリカを語る集い」に出演。日本国内での学校公演を再開。 |
MUSIC ナイロビ・キベラスラムの小学校にて演奏。 |
2023 |
LIFE & ACTIVITY 数年ぶりに渡ケニア。ネーションTVに出演。 |
MUSIC 「DUNIA」のリリース。 |
2024 |
ニャティティは、東アフリカに住むルオー民族の伝統弦楽器。
もともとは、ルオー民族の選ばれた男性だけが
演奏することを許された神聖な楽器だった。
アニャンゴこと向山恵理子は、単身ケニア奥地の
電気も水道もない村に住み込みニャティティの修業をし、
ニャティティの習得と演奏を許された世界初の女性となった。
ギターは外側に表面を向けて抱えて弾くが、ニャティティは表面を自分の体に向けて、楽器と向き合って弾く。演奏するときは、地面に置いて、自分も低い椅子に座って、身体とは少し離して弾く。右足首につけている鉄の鈴は「ガラ」、右足親指にはめている鉄の輪は「オドゥオンゴ」と呼ばれている。ガラを鳴らし、オドゥオンゴをニャティティの木のへりにゴツゴツとあてて、リズムを生み出す。ヴォーカルとストリングス(弦楽器)とパーカッション(打楽器)の三つの仕事を同時にこなさなければならない。
ニャティティは、別名「カンバナネ」ともいう。スワヒリ語でカンバ(糸)・ナネ(8)。つまり、「8本の弦」という意味である。大きさは、アコースティックギターより2周りくらい小さなサイズで、胴の部分はイチジクなどの木をくりぬき、半球状になっている。半球の面の側には、牛の革が張ってある。
弦は8本の釣り糸(ナイロン弦)でできており、太さは三種類。昔は弦にメス牛のアキレス腱を使っていた。ビーンビーンと長く、渋く響く音の秘密は、サワリの部分。細い竹のようなもの(ヨシ)2本と木片が蜜蝋(みつろう)で止めてある。
ルオー民族の人たちにとって、「男性の生まれる時の4日間、亡くなってからの4日間」は特別な意味があるという。ニャティティの弦の下4本は生まれる時の4日間を表し、上4本は亡くなった時の4日間を表している。この楽器がニャティティと呼ばれるのは、ルオー語がネイティブの人には、下から数えて2、3、4本目の弦を順に弾くと、「ニャ、ティ、ティ」と弦がしゃべっているように聞こえるからなのだそうだ。