Anyango がニャティティに出会って10年。集大成アルバムが遂に完成した。ワールドワイドに活躍するヴァイオリニスト・作曲家の金子飛鳥と、ファイナルファンタジーの音楽制作者・作曲家である鈴木光人の2人組ユニット「yuLa」を co-producer に迎えて作られた意欲作!アフリカのルーツ音楽とエレクトロニカの融合。自由で斬新な音楽的実験に挑みながらも、伝統楽器ニャティティの響きと透明なVOICEとヴァイオリンの織りなす美しい世界。究極の地球(ガイア)の音楽がここに誕生!
音の万華鏡
ニャティティ奏者Anyangoになって10年。集大成アルバムが遂に完成!伝統楽器とエレクトロニカ、西洋と東洋、多様な文化の融合。 まるで万華鏡のような音の世界。円熟味を増しつつある Anyangoが世界に向かって解き放つ意欲作。
yuLa(金子飛鳥&鈴木光人)
ワールドワイドで活躍するヴァイオリニスト、作曲家の金子飛鳥と、ファイナルファンタジーの音楽制作者であり、作曲家の鈴木光人の2人組ユニット「yuLa」を co-producer に迎えた。音楽制作において Anyango が奏でるアフリカのルーツをリスペクトしつつ、自由に斬新に音楽的実験に挑み、それがかつてない化学反応を起こしている。
世界初のコラボレーション
アフリカの伝統楽器、西欧の電子楽器にストリングス、アジア特有の旋律に日本的な侘び寂びの情緒が加わり、究極の地球の音楽が誕生した。まさに音楽的未開の境地を開拓した作品ともいえる。
『LOVE=愛』 をテーマに掲げた作品
アルバム冒頭で歌う「Aheri ahinya」とは、ケニアのルオ語で「I Love You」という意味。そしてアルバムの最後でも「Love is the Key」という天空からの声で幕が閉じられる。1曲めの「Kizashi~兆し~」から、10曲目の「Amalele」に至るまで、愛というテーマに貫かれた楽曲群が綴られている。
言葉の曼荼羅
今回のアルバムは全部で10以上の言語で歌われている。日本語、スワヒリ語、ルオ語、英語、ルヒヤ語、キクユ語、ギリヤマ語、ドゥルマ語、ボラナ語、カメルーンの言語、サンスクリット語、そしてAnyangoによる造語までも。言葉の曼荼羅のようである。
1. Kizashi~兆し~
2. Mwana wa mberi
3. Kayamba
4. アフロ・ブルー
5. Last Waltz
6. Ogwang
7. 声をきかせて~Kilimanjaro mix~
8. Uhiki
9. Shiva
10. Amalele
Co-producer 金子飛鳥 & 鈴木光人(yuLa)
Aska Kaneko
偉大なるアフリカのスピリットがテクノロジーの光をまとい、Anyango を通して世界へ発信される。繰り返される熱いリズム、木の音、水の波動、砂漠の乾いた風、声、エレクトロニクスのスパークする瞬間、Anyango が乗り越えて来た驚くべき道のり、出会いの喜びと感謝が壮大な宇宙の物語りのように紡がれて一枚の素晴らしいアルバムが生まれた。ここには古代から受け継がれてきた命の躍動と、希望を見つめる強い意志がある。
Mitsuto Suzuki (SQUARE ENIX)
「電子音は冷たい」と言われた時代がありましたが、私にとっては何より有機的であり、最も感情表現ができる手段の1つです。Anyango の奏でる Nyatiti、金子飛鳥のストリングス、そして空間とボトムを支える電子音。世界中のどこを探しても聴いた事がないこの組み合わせは、そう、まさに私がいつも心掛けている「固定概念」に縛られない音として1つとなりました。風が吹き、光が射し、そしてまだ見ぬ未来へと続く、新しい世界の音。
5th Album “Kilimanjaro” に寄せて
”Kilimanjaro” は、赤道直下にありながら真夏でも頂きに雪を冠するアフリカ大陸の最高峰です。アフリカにルーツを持つ全ての人々と、私が愛し憧れてやまないアフリカ音楽に心からのリスペクトを込めて、Anyangoの5枚目となるアルバムの名前を ”Kilimanjaro” とすることに決めました。
2014年の今年は、私がケニア・ルオの伝統弦楽器であるニャティティと出会って10年目。日本人である私がケニアの人たちから Anyango と呼ばれるようになって10年目。とても大切な節目の年です。その集大成ともいえるアルバムがこの ”Kilimanjaro” です。私のニャティティの師匠は、オクム・オレンゴといいます。3年前に天国に召されました。ケニア随一のニャティティの演奏家としてだけでなく、哲学者のような気高さと勇気を持ち合わせたムゼー(長老)でした。私がニャティティの免許皆伝となった日、その師匠から、託された言葉があります。「Anyango、私の行けないところまであなたが行って、この楽器を奏でて来なさい」。誇り高きムゼーが「行けないところ」。それは決して、地理的、物理的な意味合いのことだけではありません。私は師匠の教えに従い、「日本人」の「女性」である Anyango だからこそ目指せる嶺を追い求めてきました。
このアルバムの co-producer として、ワールドワイドで活躍するヴァイオリニスト・作曲家の金子飛鳥さんと、ファイナルファンタジーの音楽制作者として世界的に有名な鈴木光人さん(株式会社スクウェア・エニックス)のお二人をお迎えしました。今回私自身は、自分自身の我や想いや欲を捨て去り、心を無にして音楽に向き合うことに決めました。すると、私自身の内側で、南と北、西と東の相反する(と思っていた)リズムや音楽的作法のようなものが結びつき、新たな生命が誕生したかのように感じたのです。私だけでなくスタジオにいるスタッフの誰もがこの不思議な感覚とオーラに包まれて、そうして生まれ出でたアルバム、それがこの ”Kilimanjaro” です。
最後になりましたが、今まで Anyango と出会い、共に生きてくれた全ての人に心からの感謝を捧げたいと思います。出会いの時間の長短にかかわらずその誰一人がかけても、どんな出来事がかけても、今の Anyango はありません。今改めてその全ての瞬間を愛おしく思います。本当にありがとうございました。 Anyango
1. Kizashi~兆し~
2011年、アフリカ対陸中西部のカメルーンを訪れた Anyango は、アフリカの熱帯雨林の森の奥に太古より暮らす人々(ピグミー)と出会った。この熱帯雨林のポリフォニー、ポリリズムにインスパイアされ誕生したアニャンゴのオリジナルソングを基に「yuLa」が見事な多重音像を作り上げた。『愛の兆しを感じた旅人は、世界中を回り、ついに愛を通して自分自身を見つけた』歌詞はスワヒリ語とルオ語をメインに、Anyango の楽曲としては初となる英語も。
※ポリフォニー:複数の独立した声部(パート)からなる音楽のこと。
※ポリリズム:楽曲中または演奏中に、複数の異なる拍子が同時に用いられている状態のこと。
2. Mwana wa mberi
原曲はケニア西部ルヒヤに伝わる子どもの誕生を祝福する歌で、今でも結婚式などケニア中で広く歌われている。ケニアの伝統曲が、日本のトップミュージシャンを迎え、斬新なダンスチューンに昇華した。ルーツ音楽の懐の深さと、エレクトロニカが有機的に融合するさまは聞き所満載。豪華なストリングスによる三連の軽快なテンポが小気味よく、アグレッシブなコール&レスポンスの多重録音もアフリカ的で陽気な村祭りの雰囲気を醸し出している。大音量でスピーカーから流し、目を閉じると、まるで雄大なサバンナの風に乗って旅をしているような気分に包まれるだろう。ヴィオラ・ダ・ガンバという珍しい擦弦楽器の音も収録。
3. Kayamba
Kayamba(カヤンバ)は、シェイカーと打楽器の2つを1つにしたようなケニア沿岸部ミジケンダ(ケニア海岸部の9つのエスニックグループの総称)に伝わる伝統的な楽器で、魂の治療にも使われるなど精霊と交信できるツールでもある。原曲はドゥルマ語とギリヤマ語で、直訳すれば『畑にいって畑をたがやそう、ゾンボ山を畏れ賜おう』という意味だが、ケニアの歌には二重三重の意味があり、この歌も例外ではない。ケニア東部ミジケンダに伝わる伝統曲をルーツに乗っ取った形で再現するとともに組曲風に Anyango がアレンジし、現代との橋渡しをできるようスペイシーなミックスを施した。 歌だけでなく Kayamba の演奏も Anyango 本人による。2004年、彼女はニャティティに出会う前のケニアでこれらの曲に出会い、ケニア沿岸地帯を旅して回った。Anyango のもう1つのルーツとも言える楽曲である。
4. アフロ・ブルー
ジョン・コルトレーンが演奏したことでも有名なモンゴ・サンタマリアの名曲「Afro Blue」。日本語の歌詞はAnyango 自身による。夜のサバンナの乾いた空気に、透明な声が溶け込み、艶やかな懐かしさを醸し出している。ニャティティとダブル・ベースの共演も初の試みだ。月明かりに響き渡る牛のベル、乾いた記憶、遠い幻。ニャティティの修業をしたアフリカの大地を青い月が照らす。エレクトロアンビエントのスターダストがちりばめられ、ジャジーで大人の雰囲気が漂う新しい音楽空間が紡がれている。
5. Last Waltz
いつかの初恋を思い出して、あまずっぱい気持ちが胸の中に広がる瞬間が誰にでもある。そんな切なく淡い恋情を日本語で歌った Anyango によるオリエンタルなオリジナルソング。東アフリカ沿岸部に伝わるチャカチャ(ゆったりとした8分の6拍子の音楽)風のこの曲は、異国情調漂う有機的なフレットレスベースと無機質なインダストリアル系ダブ・ステップの対極とも思える2つの世界観がみごとに融合。渡辺貞夫バンドのベーシストでもあるコモブチ キイチロウ氏が、アジアツアーの合間を縫って駆けつけてくれた。
6. Ogwang
かつて、Ogwang Lelo Okoth(オグワン・レロ・オコス)という偉大なニャティティ奏者がいた。彼はケニア国内だけでなく、タンザニアやウガンダをはじめ東アフリカ中に名を馳せていた。Ogwang に捧げる Anyango からの手紙とも言える楽曲。低音が魔法のように渋く魂を揺さぶる。ニャティティのシンコペーションに、金子飛鳥率いるストリングスが重なり、更なる美しさを醸し出す。また、途中のダブのブリッジにより、一気に近未来を予感させるクールなダンスチューンの全貌が顕わになる。アニャンゴは、このニャティティの伝説的奏者にリスペクトを込め、彼女自身の亡き師匠、オクム・オレンゴから譲り受けた「真っ白なニャティティ」を使ってこの曲を演奏している。
7. 声をきかせて~Kilimanjaro mix~
東日本大震災復興を願い、2011年10月にシングルとしてリリースされたこの曲が、yuLa とのコラボレーションにより、~Kilimanjaro mix~ としてバージョンアップした。ケニアのルオポップス、ベンガのビートと 80’s 感溢れるディスコミュージックが合体。万華鏡のようなシンコペーションとおもちゃ箱をひっくり返したかのような音の遊園地の登場だ。2011年3月11日、Anyango はサードアルバム「Teï molo」のレコーディングのためパリにいた。そこに飛び込んできたのが未曾有の大地震と津波、そして福島のあの原発事故のニュースだった。いてもたってもいられない気持ちを抑え日本の友人や知人を思い浮かべ創ったのがこの「声をきかせて」だった。あの日から3年半。今日も願いを込めてAnyangoはこの歌を歌い続ける。
8. Uhiki
ケニア南西部のキクユ(かつて植民地からの独立を果たすためマウマウ団を結成しケニア山=Kirinyagaに拠点を置きゲリラ戦を展開した)に伝わる伝統曲である。その楽曲を Anyango がアレンジした。ウドゥドラムにシェケレ、そしてキクユ語によるアカペラのユニゾンボーカルのみのきわめてシンプルな構成だが、その素朴さが逆に胸に迫る。Anyango の突き抜ける歌声がアフリカの草原に響き渡るかのようだ。最後に耳に残る遠吠えのような音の正体は、牛の角笛(ホーン)である。ケニアの牛の頭には2本の大きな角がついており、その角にナイフで穴をあけ角笛をつくる。ウドゥドラムやシェケレ、そしてこの角笛も Anyango 自身による演奏である。
9. Shiva
「Om namah Shivaya」とはサンスクリット語で「おおシバ神を拝み奉ります」という意味。破壊と再生を司るシバ神を頌えるインドの伝統曲に Anyango が日本語によるオリジナルの歌詞をつけた。金子飛鳥のヴァイオリンによるピチカートとヴォーカリスト Anyango の民族音階的な多重コーラスがなんとも不思議な世界観を醸し出している。インドの古典音楽にはラーガという無数の音階が存在するが、そのうちの最もポピュラーな音階 Raga Yaman をモチーフに物語は進んでゆく。「Anyango、私の行けないところまであなたが行って、この楽器を奏でなさい」。今は亡き師匠からの教えのとおり、Anyango の音楽的世界観は、アフリカから日本、欧米、さらにはアジアへとどこまでも広がってゆく。
10. Amalele
エチオピア南部で主に牧畜を営んで暮らすボラナの人々に口承で伝わる伝統曲。ボラナ族のラブソングであるという説が一般的だ。有機的なヴァイオリンのフレーズが絡み合い、神秘的かつ母性的なエロスを醸し出している。魂の奥深くにどこまでももぐり込み、昇天してゆくかのような、母性の絶対性を感じさせる作品。神聖なる扉が開き、聖歌が鳴り響く。感謝と瞑想、そして無限に拡がる宇宙と一体化する至上の愛。この曲により音の曼荼羅ともいうべきアルバムがここに完成した。